ある主要就職サイトが、2018年卒の学生を対象に就活開始の3年次の1月に「就職先を選び際に重視する点は何か?」、同じ対象に就活を終えた4年次の9月に「就職先を決めた理由」を選択形式でアンケート調査を行いました。(それぞれ同じ選択肢を提示)
今回この調査結果を基に、上場企業ならではの採用コミュニケーション手法についてお伝えさせていただきます。
まず就活開始時と終了時の調査結果で乖離が大きかった代表的な項目をご紹介します。
1.安定している(就活終了時に16ポイント低下)
2.給与・待遇面が良い(就活終了時に12ポイント低下)
3.将来性がある(就活終了時に20ポイント低下)
4.業績・財務状況が良い(就活終了時期に15ポイント低下)
以上の項目が、10ポイント以上の差が出ています。
逆に就職先を決めた理由としてポイントが上がった項目としては「社会貢献度が高い(7ポイントアップ)」「仕事内容が魅力的(7ポイントアップ)」「希望の職種に就ける(7ポイントアップ)」くらいでその他は大きな差が出ていません。
今回注目したいのは、前述にある就活開始時期に重視していたのに、結果的に就職先を決めた理由としてあまり重視されなくなった項目です。
その中でも「安定している」「将来性がある」「業績・財務状況が良い」という3項目について考えたいと思います。
あくまでも仮説ですが、以下2つの原因が考えられます。
1.重視していた3つの項目を満たす情報を学生が見極めるスキルがない
2.重視していた3つの項目に関する情報を企業側が積極的に提供していない
上記の中でも業績(売上や利益を数字で表記するレベル)については採用情報でも伝えられるものですが財務状況はなかなか開示されません。
また安定性や将来性を採用情報から読み解くのは、社会人でも至難の業と言えます。
そうなると学生たちは、就活でより多く目に触れる或いは耳にする情報に感化されるようになり、本来重視したかった項目を見失いがちになってきます。
更に言うと、上場企業の中にはIR情報をみるよう学生に促すこともありますが、多くの学生はその情報を見ても、安定しているのか?将来性があるのか?財務状況が優れているのか?を明確に判断できないということが予想されます。
一方で、「社会貢献度の高さ」「仕事の魅力」などの定性的な情報を積極的に訴求する企業が多く、徐々に学生たちはそういった基準で企業を選択するようになって来ているとも言えるのではないでしょうか?
採用サイトのフォーマットも定性情報を中心とした作りになっていると感じるのは私だけではないと思います。
そこで、上場企業は学生に対してIR情報や経営情報をもっと訴求し、根拠を持って自社の安定性や将来性、財務状況を伝えていくことが重要だと考えます。
せっかくそういった基準で学生が就職先業を選ぼうとしているわけですから、まさに学生からすると渡りに船になるのではないでしょうか。
もちろん学生に対してその情報の意味合いや、業界平均といった付加価値情報も必要になります。
企業説明会の限られた時間で、上記の情報を全てインプットしてもらうのは現実的とは言えませんので、例えばインターンシップで訴求するとか、経営情報で企業分析することをレクチャーする早期セミナーを実施するという方法もあります。
中には学生を対象に個人投資家向けの説明会コンテンツを提供する上場企業もあるくらいですので、今後益々こういった手法が増えてくると思います。
IR情報・経営情報を活用した学生とのコミュニケーションやセミナーの企画、インターンシップの企画など当社でお手伝いできますので、お気軽にお声がけください!