「学生のナビ離れの背景にあるもの」

既に各方面から指摘されている「ナビ離れ」現象。

この指摘はここ4~5年の間の各調査結果でも顕著になっているようです。

そもそも「ナビ離れ」現象は、主語が企業なのか?学生側なのか?という疑問をお持ちの方も少なくないようです。

統計上では「両方」というのが一般的な見解だと思いますが、2017卒採用に限っては主要ナビサイトの掲載社数は軒並み伸びているので、企業側の「ナビ離れ」はひと息ついた印象があります。

この背景は求人倍率の続伸による売手市場化に対する企業の危機感と、採用数増の影響が大きいと考えられます。

ただ多くの企業が、主要ナビサイトを採用活動の主軸においているかというと実際はそうではなく、大手企業などは多くの学生に応募機会を与え公平性を担保することを目的にしているケースも少なくありません。

ではそういった企業はどんな採用活動を展開しているのか?

ナビ以外の手法、つまりインターンシップや大学との連携、特定学生が参加するイベントやスカウトサイトの活用など、注力すべき採用ツールが変わりつつあるというのが現状のようです。

前置きが長くなりましたが、今回のテーマは「学生のナビ離れ」です。

実際に学生と会って話をしていると、主要ナビサイトに登録はしたもの、積極的に活用している学生の割合は感覚値ながらも減っているように思います。

その理由が何か?を考えてみたいと思います。

前述のように学生側にとっても就活手段の選択肢が増え、一定の学生は自らを直接的に企業に売り込んでいけるイベントやサイトを中心に活動していたり、インターンシップを主戦場にして就職活動を行っている学生もいます。

こういった学生はいわゆる採用市場における優秀層と呼ばれる学生達で、企業側もまたそのターゲットを狙ってそういった企画にこぞって参画しているのです。

そしてもうひとつ個人的に感じていることがあります。

やはり上位校を中心とした優秀層の中には、ナビサイトの採用情報では満足のいく企業研究ができないと考えているふしがあります。

だからこそ、自ら自分の足で情報を集めようという動きが活発化しているのだと思います。

元来ナビというのは、多くの企業の採用情報を共通フォーマットによって比較検討できるというメリットがあるわけですが、実際に目を通すと社名を隠してみるとあまり違いが分からないということもあります。

特に同業種同士の企業比較は学生の知識レベルでは非常に困難だと考えます。

またナビの採用情報は数字中心の会社の基本情報と募集情報以外は主観情報で構成されています。

「当社は社風が良く、社員同士の関係性が良好」「業界の中でもトップクラスの成長率」「お客様第一主義の経営」「若くして挑戦できる環境が整備されている」などなど。

そこだけ見ると「良さそうな会社」だと思いますが、今ひとつ説得力に兼ねている情報が多いように思いますが、いざ会社説明会に行って質問をすると自身の考える基準とはかけ離れていたといったことが実際にあると学生の口からも聞こえてきます。

だとすればナビ以外のツールを使って企業研究をしようとするのも頷けます。

以前もコラムで紹介しましたが、2月24日に当社では「就活に、IR情報は有益か?」というタイトルのシンポジウムを開催いたしました。

その場では、ある上場企業のIR担当役員が約30名の学生を前に意図的に個人投資家に説明する内容をプレゼンテーションしました。

専門用語や聞きなれない単語が出てくる中、学生達は真剣に耳を傾けており、驚くことにプレゼン後の質疑応答において極めて高度な質問を投げかけました。

終了後のアンケートにおいても、約80%の学生が個人投資家向けのプレゼンテーションを「難しかったけど、だいたい理解できた」「説明会で聞く会社情報よりも楽しかった」と答えています。

あくまでも仮説ですが、一定レベルの学生はナビの採用情報では得られないもっと高度な情報による企業研究を欲しているのだと考えます。

その筆頭が、上場企業であればIR情報だと私は考えています。

ナビの存在価値を否定する気はさらさらありませんが、学生が多様化していく市場においては、自社の価値を理解してもらうためのコミュニケーション手法を見直す時期にきているのかもしれません。

当社としましては、学生が企業価値を深いレベルで理解できる、そして客観的に他社と比較ができる採用とIRの間に存在するようなコミュニケーション手段をまもなくリリースする予定です。