2014年1月6日の日経新聞の29面。
仕事始めの朝、「就活”3S”で絞れ」という見出しの記事が目に留まりました。
どの程度の取材からこの記事が掲載されたかはよく分かりませんが、個人的には賛否両論という印象でした。
3つのSとは、『「製」品から業界を選択』『「成」長力、決算チェック』『「職」種は長期的視野で』という業界・企業選びの基準を提示した小見出しの頭文字です。
就職活動に基準を設けるという点では、賛成。
しかし懸念点も少なくないように思います。
まず『「製」品から業界を選択』ですが、そもそも学生の知り得る「製品」そのものが果たしてどの程度あるのかが疑問です。
またこの基準で就職活動を捉えると、BtoCの業界・企業に限定されますし、更には日常的な商品やサービスに目が行きがちになってしまい、いわゆる知名度のある企業がコアな対象になってしまう可能性があります。
次に『「成」長力、決算チェック』についてですが、これに関しては同感です。
但し、商学部でシッカリと財務等を学んでいる学生でない限り、財務諸表を読み取る力量は低いでしょうから、そのあたりを大学の職員・教員、或いは親御さんといった大人がシッカリとサポートして上げる必要があります。
単に「売上高営業利益率や総資産経常利益率が○%以上の会社が優良企業」だとか、「自己資本比率が○%以下の会社は要注意」といった基準だけを与えるだけでは不十分だと考えます。
また財務を公開していない未上場企業や、オーナー系企業に目が行かなくなる可能性も気になる点です。
最後に『「職」種は長期的視点で』ですが、記事にもあるように新卒の場合、職種限定の採用は比較的少ないのが現状。
いわゆる「総合職」採用を行う企業が少なくないので、まさに長期的視点で捉える必要があるという意味でその通りだと思われます。
そういう意味では、「就活”3S”で絞れ」という見出しからするとやや違和感のある提示のではないかというのが個人的な感想です。
ちなみに、あえて「3S」で私なりに学生に対して提示するとすれば・・・
自分の『性格』『志向』『素養』を認識したうえで企業・業界を絞っていくことを提案します。
学生が企業や業界の絞り込むためには、まずは自分のことを理解する必要があります。
つまり企業・業界選びの基準を学ぶだけではなく、並行して自分自身の判断基準を明確にしておく必要があるということです。
そうでなければ、自分の意思決定に自信と責任が持てなくなってしまいます。
自信と責任のない意思決定は、単なる選択でしかなく、社会人になってからも同じことを繰り返してしまう危険があるように思います。
少しでも就職活動をしている学生が、腹を括った意思決定ができるような支援を行えるよう尽力したいものです。