「自己承認できない学生」

先日、某私立大の女子学生と面談を行いました。

彼女はいつも、選考が終わると私に連絡を入れてくれて「今日の面接ではうまく自分を出し切ることができませんでした。。。」とか「話が盛り上がりました!」と元気に報告してくれるとても明るくて元気な学生でした。

彼女と直接会話をするのは今回の面談が2回目で、しかも1回目は大学内のセミナーだったためほんのひと言ふた言を交わしただけでした。

その彼女、結果的に当社が採用のお手伝いをしている企業の最終面接を通過することができなかったので、再度直接会って、原因を確認しようと思い面談を設定したのです。

そこで感じたことは、彼女は「自己承認」が不得手ということ。

“自分には大きな夢や目標がない” “将来やりたいことが明確にない”ということで、自分を受容できない状態、つまり自分の存在価値を認識できないでいるということですが、最近この類の学生が非常に多いと感じています。

ひとつは、他人からの承認体験が少ないということだと思われますが、もうひとつ背景として考えられるのが、就職活動を通して徐々にそういう状態に陥ってしまったということが考えられます。

選考時に、いやというくらい質問される「学生時代に頑張ってきたことは何ですか?」と「将来どんなことをやりたいですか?」という言葉に翻弄され、心にもないことをついつい口走ってしまい、ドツボに嵌っていく学生。

もちろん、過去の体験は重要だし、将来の夢や目標を明確に持っていた方が良いに決まっているわけですが、それだけでその学生が本当に自社に必要な人材か、自社で活躍する人材なにかを判断するのは極めて難しいと思います。

今回の彼女も、就職活動を通してやや自暴自棄に陥っている感じがしましたが、丁寧に聞 いていくと、とても素晴らしい側面を持ち合わせていることが分かりました。

まず彼女は、茨城県の土浦から東京世田谷のキャンパスまで、3年強の間ほぼ皆勤で通学 していました。

片道2時間もの通学時間を無駄にしないように、読書や勉強の時間に充て知識の蓄積に勤めていたようです。

また大学の入学金と授業料の全額を奨学金で賄い、通学の交通費はアルバイトで稼いでいて、大学2年時にさすがに体力的にも精神的にもしんどくなり、学校を辞める覚悟をしたこともあったようですが、迷惑をかけている家族に諦めた姿を見せたくないと奮起し、現在も複 数のアルバイトを掛け持ちしながら就職活動を続けています。

更には地元のお囃子同好会に所属し、老若男女のコミュニティでムードメーカーとして活躍 する顔も持ち合せていて、目上の人を立てること、年下や子供の面倒をみることにも慣れ親 しんでいます。

「同好会ではとにかくお酒を飲まされるので、相当鍛えられました!」話してくれた時の屈託のない笑顔がとても印象的でした。

個としても、組織・チーム内においても、働くための素晴らしい素養を持ち合せているにも拘らず、「自己承認」に後ろ向きな学生が多いのは、社会にとってマイナスです。

「自分には人に誇れる強みがない」「たいした体験もしてきていない」「目立った経歴もない」 という卑屈な学生に、もう少し「自己承認」できるような環境(きっかけ)があれば本人はもちろんのこと、 企業にとって、社会にとってとてもプラスになるはずです。

そういったことを意識した採用活動を行っていらっしゃる素晴らしい採用担当の方を多く存じ上げていま すが、もっともっと多くの企業でそういった採用方法を導入していただきたいものです。

ちなみに彼女は、必ずや入社後パフォーマンスを発揮する人材なのは言うまでもありません。

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