4月の後半を迎え、早期から選考活動を進めてきた企業ではすでに「内定」を出されているようです。
当社のクライアントでも多くの企業が学生に対して「内定」を通知していますが、それに対する学生の反応や感触は今ひとつといった声が多く聞かれます。
これは大手の選考が6月に控えているからということが最大の理由であることは間違いないのですが、中には「大手企業を受けずに今受けている企業から決めたい」と明言しているにもかかわらず「御社を含め3社から内定をいただいたのですが、決められません」という学生もいるそうです。
つまり意中の企業から「内定」をもらったにもかかわらず、自分の意思で決められないという現象が顕在化していると言えます。
この現象は今年には今に始まったわけではありませんが、感覚値としてここ数年増加傾向にあるように思います。
大人が決めた就職スケジュールに振り回されているということもありますが、問題の本質は以下の3つに集約されるていると分析しています。
①会社・仕事を選択する上での判断基準が不明確
②判断(意思決定)する上での材料・情報が不足している
③周囲の影響者からの意見に振り回される
当社では、クライアントの内定者を対象に「意思決定」の支援(内定を承諾するか?辞退するか?を判断する支援)のプログラムを提供させていただいていて、数年前から多くの企業の内定者の方々と対峙してきました。
その中で顕著に感じているのが前述の3つです。
まずひとつ目の「判断基準が不明確」についてですが、自分の価値観や将来を見据えての働き方のイメージが希薄な学生が多いように思います。
以前もコラムで触れましたが、自分が大切にしている価値観を把握できていない学生が多く「判断基準」が曖昧なために意思決定できないというケースです。
次の「材料・情報が不足している」についてですが、仮に「判断基準」が定まっていたとしても、判断材料・情報を持ち合わせていなければ覚悟を伴う意思決定は困難です。
多くの企業さんは、自社の情報を積極的に伝えているとお感じかと思いますが、学生と話をしていると、本人が知りたい情報については希薄といことが散見されます。
だったら「自分から聞けよ!」と突っ込みを入れたくもなりますが、なかなか選考プロセスにおいては聞きずらかったり、短期間で大量の情報を発信されているので整理できていないということも考えられますので、多少は大目に見てあげてもいいのではないでしょうか?
そして最後の「影響者からの意見に振り回される」ですが、最も多いのが親に相談した結果「もっといい会社が他にもあるんじゃないの?」との切り返しに撃沈するパターンです。
最近の就活生と親の関係は、想像以上に仲が良いと言われます。
親のそのひと言に学生は安易に影響され、振出しに戻ってしまうことも少なくないようです。
このようなことにより、「内定」をもらってから迷う、悩む学生が増加傾向にあるようです。これは採用担当者にとっては、見過ごせない問題ではないでしょうか?
「内定」までの選考プロセスで、しっかりと学生の価値観や本当に知りたい情報、或いは影響者の存在などを把握することは言うまでもありませんが、「内定後」のフォローアップも極めて重要になってきています。
人は選択肢が多いと迷うと言われます。
そのためには「省く、分類する、整理する」とおいうことが重要になってきます。
そのあたりを踏まえ、「意思決定力」が欠落している学生に対する対策を講じることをお勧めします。