新卒採用を行っている企業のアンケート調査によると約4割の企業がターゲット大学を設定して採用活動を行っているというデータが出ています。
また大学以外にも、自社の採用したい人物像・人材要件を言語化し、そういった学生達のマインドに響くような情報提供やメッセージを発信するという手法がスタンダード化してきています。
企業のホンネとして、自社の採用ターゲット以外の学生からのやみくもなプレエントリーを軽減し、効率的な採用活動を行いたいという気持ちの表れだと思われます。
採用活動はある種マーケティングであり、その発想自体は頷けますし、特に自社の求める人材要件を明確に言語化した上で採用活動に臨むということはとても重要なことであることは間違いありません。
ただ思うような成果が上がったという話を残念ながら多く耳にすることはありません。
今日はその原因について私見をお伝えしたいと思います。
既存社員へのアンケートやアセスメントの導入等で求める人材要件を具体的に定め採用広報を展開している企業が陥りやすいのが、その広報活動の大半を就職ナビに依存しているケースです。
基本企画にプラスして、オプションで自社の求める学生に響くであろうメッセージをナビの中で広報し、不純物の少ないエントリー母集団を作ろうという目論見なのですが、実際に選考に入ると前年とあまり変わり映えのしない学生が多く訪れてくる。
結果的にナビの予算が増大し、それ以外に重視しなければならないリアルな学生との接点を減らしてしまっていては本末転倒ですね。
それは企業側の狙い通り学生が就職ナビを利用していないということだと考えられます。
つまり大半の学生は就職ナビをプレエントリーの道具として利用しているため、ナビをみてその企業の理解を深めていないということです。
知っている社名、漠然とイメージする業種・職種、地域や条件等で検索した結果表示される企業に片っ端からエントリーするというのがどうやら学生達の実態のようです。(下段にリコメンドとして表示される企業もとりあえずエントリーしてますね)
結果として必死になってアップした自社の情報やメッセージにまで目が届くことなく説明会告知を手にした学生達が足を運んでくる(歩留まりが低いのも頷けます)。
これではせっかく人材要件定義をしても期待通りの成果を得ることは難しいですね。
採用活動をマーケティングだと捉えるならば、やはり広報活動の戦略立案が肝になってくるわけです。
例えば情熱的でバイタリティ溢れる学生を採用したいのなら、そういった学生が多く存在する情報リソースや場所を狙って熱いメッセージを発信していかなければなりません。
釣りに例えるのはどうかと思いますが、分かり易いのであえて言わせていただくと「漁場」をどこに設定するか?が重要なポイントになってくるわけです。。
学生にとっての企業エントリーマシーンである就職ナビでの採用広報について、今一度目的を明確にする必要があるのではないでしょうか。