大学の就職力ランキングから感じること。

10月22日号の「東洋経済」の特集は“本当に強い大学”というテーマ。

東洋経済独自の基準で日本国内の780大学を「教育力」「就職力」「財務力」と言う項目で調査し「総合ランキング」を発表しました。

総合ランキングの上位3校は1位「東京大学」、2位「京都大学」、3位「慶応大学」という一般的にみて順当な結果でした。

しかし前述の各項目毎のランキングをみていくと、お恥ずかしながら私の知らない取り組みで上位にランキングされている大学も多々見受けられました。

このコラムの性質上、「就職力」にフォーカスしますが、個人的には「教育力」に注目することも重要かと思っております。

さてこの「就職力」の算出基準ですが、まずは就職率(卒業生から大学院進学者を引いた人数に対する就職決定者の比率)です。

分母はいわゆる大学がPRで利用する「就職希望者」と違い、かなりリアルな数字です。

それ以外に、「上場企業役員数」と「就職上位層の30歳年収」というモノ。

これについてはやや違和感のある算出基準ですが、加重平均を導入するなどの施策によって不公平感を極力排除したものだと考えられます。

そんな中「就職率」限定で上位ランキングされている大学(文系)は、予想通り社会福祉・医療福祉・保育・教育といった専門分野の単一大学や、そういった学部が主体になっている大学が殆どです。

ちなみにそれ以外で上位にランキングされている大学・学部は、安田女子大学現代ビジネスが8位、静岡県立大の経営情報が14位、福井県立大の経済が18位。

安田女子大は広島市にある総合女子大で、現代ビジネス学部はIT・マルチメディアを専門に学ぶ学部のようですが、おそらく静岡と福井の県立大同様、定員が少ないというのも就職率の底上げにつながっていると考えられます(正確な定員数までは今回調べていませんのでご了承ください)

それでも一橋の商(21位)や社会(26位)をおさえ、上位にランキングされているのは事実です。

他にも島根県立大の総合政策(23位)、国際教養大の国際教養(30位)、兵庫県立大の経済(46位)といった県立大(公立大)が検討しているようです。

いずれにして数値上で実績を上げているということは、何かしらの理由があるはずです。

一度詳しく調べてみたいと思います。

前述の「就職力」全体のランキングベストテンは以下の通り。

1.立教大学(就職率74%)
2.法政大学(就職率73%)
3.早稲田大学(就職率75.5%)
4.産業能率大学(就職率75.3%)
5.多摩大学(就職率67.8%)
6.慶応大学(就職率82.1%)
7.嘉悦大学(就職率78.7%)
8.敬愛大学(就職率64.7%)
9.高崎経済大学(就職率77%)
10.京都産業大学(就職率72.1%)

順当な大学もあれば、失礼ながら「へぇ~そうなんだ」という大学も上位にランキングされていますね。

上位10大学全てを詳しく述べることができませんが、7位の嘉悦大学の例をご紹介します。

ご存知の通り女子大から総合大学へと転換した大学ですが、一般的に企業が選考時に問う「大学時代の体験とそこで身に付けた能力」に注力し、充実した大学生活を送るための支援を徹底させているようです。

入学した学生は、NPO法人「カタリバ」の協力を得て上級生の体験談を聞くことにより多くの刺激を受け大学生活への期待値を高めています。

それを受け、3年次の11月をイメージし「未来履歴書」なるものを作成し、その目標に向けた学生生活を教員のサポートを受けながら送っていくという仕組みが出来上がっています。

他にも1年時より「模擬店体験」により、事業計画書・販売計画・収支計画・報告書等の体験をしたり、大学が用意したアルバイトの業務改善等に取り組んでいます。

どこまで大学が支援するか?という点で議論の余地がありそうですが、学生が学生時代に多くの体験をする環境があるということは非常に素晴らしいと思います。

昨今企業と大学の関係が今まで以上に近づく傾向にあります。

もっと企業は大学に対し、学生教育に対し要求を出し、大学もそれに耳を傾けていく必要があると多くの方が感じていらっしゃるのではないでしょうか?

 

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