4月を迎え、倫理憲章を従順する大手企業が本格的な選考そして「内定」出しを加速させているようです。
ただ一部では「内定」ではなく、あくまでも選考を通して採用基準をクリアしたという意味合いで「合格」という表現をする企業が増えている実感があります。
これにはいくつか理由があるのですが、そもそも「内定」とは本来どういう意味なのか?を考えてみたいと思います。
一般的に「内定」とは、採用選考をクリアした学生に対して翌年の入社権を与えるという意味合いで使われているケースが少なくないのではないでしょうか。
ただ、就職活動において「内定」とは「始期付解約権留保付労働契約」と呼ばれる一種の労働契約であるという捉え方もあります。
ちなみに、“フレッシュアイペディア”には下記のような説明が掲載されています。
多くの場合、一般に学生が卒業する(新卒)にあたって在学中に締結される、卒業後を始期とした労働契約のことである。つまり「卒業後は御社で働く」「卒業後は貴君を我が社で雇用する」という契約である。また、いわゆる中途採用などにおいては始期の決まっていない採用通知のこと。労働契約の成立には双方の承諾が必要であるため、一般には採用通知後にそれを受け取った労働者側(あるいは学生側)が契約を承諾することが必要となる。
つまり、「内定」が契約であれば両者の合意が必要であり、学生の承諾があって初めて「内定」或いは「内々定」という表現が望ましいと考えられるのではないかと思います。
これは「内定取り消」問題とも絡んで来る可能性がありますので、企業として今まで以上に慎重に対応した方が良いと考えます。
また企業サイドからすると「内定承諾率」の低下という問題が顕在化しているようです。
せっかく経営資源を投下し、複数の学生に「内定」を出したとしても、承諾をする学生が少なければ意味がありません。
「内定承諾率」の低下を見込み、安易に多数の学生に「内定」を通達する企業も少なくないようですが、企業間取引と同様に、「契約」とは非常に重要な行為であるわけですから、安易に「内定」を乱発するのは決して好ましいとは言えません。
そこで、採用活動において留意すべき点として以下が挙げられると考えます。
まずひとつ目は、企業と学生の合意形成を意識した選考の方法を導入することです。
そのためには企業と学生がお互い上っ面の情報を開示するのではなく、本質的な情報を詳らかに開示し合う選考プログラムの導入が不可欠です。
それともうひとつ。
企業は、いきなり「内定」を出すのではなく、採用選考に対する「合格」を提示し、その上で学生が自身の判断軸に基づき、自分の意志で、期限内(一定の猶予期間は必要)で意思決定できる環境を用意することだと思います。
採用数の多い企業からするとやや理想論かもしれませんが、両者に納得感のある雇用契約を締結することが重要であることは間違いありません。