「成果報酬型採用支援サービスの功罪」

今回のタイトルは私にとってある意味、自己否定につながるモノかもしれません。

それは2005年に、それまでスタンダードではなかった完全成功報酬型の新卒採用支援サービス事業(新卒紹介サービス)を自らの手で始めたからです。

しかし「功罪」ですから、当然ながら良い点も多々あったと思います。

むしろ本来の言葉の意味からすると、「功績」の方が「罪科」を若干上回っているのではないかとも思っています。

ではいったい何が「功績」で、何が「罪科」なのか?

まずは「功績」面ですが、単純に企業の採用活動においても、学生の就職活動においても選択肢が増えたことが挙げられるのではないでしょうか?

あまり多くの選択肢を持つことは、判断を鈍らせることに繋がりますが、適度の選択肢がないのは市場として健全とはいえません。

そういう意味では企業と学生の両者にとって、選択肢が増えたことは意味のあることだと思います。

また採用活動のスタンダードになってきた「就職ナビ」においては、予算をたくさん投下できる企業が露出を増やし、学生のエントリー数を伸ばすようになっていました。

一方で高額な掲載費を投資できない中小企業は、「就職ナビ」にすら掲載できなかったり、仮に掲載できたとしても、前述の通り露出の多い企業や認知度の高い大手企業の陰に埋没し思うような採用ができないという状況にありました。

つまり、大手企業や採用予算を潤沢に有する企業と知名度がなく予算もかけられない中小企業の間の溝が大きくなり、採用活動の二極化が顕在化してきたのです。

その現象が顕著になってきた市場においては、投資リスクが少なく、リアルで企業の魅力を学生に伝達する「新卒紹介サービス」のような成功報酬型採用支援サービスは中小企業にとっては有効な手段になったと考えられます。

他にも企業と学生にとって、第三者目線での情報提供は客観性を帯びていることもあり、判断材料として有効活用できるようになったではないでしょうか?

一方「罪科」という視点では、ズバリ企業と学生の依存体質を助長したように感じています。

本来企業にとって、採用活動は非常に重要な経営戦略であり、その戦略実行をフルアウトソーシングに近い形態をとるということは、自社の採用力向上を放棄するに等しいとも言えます。

特に中小企業、ベンチャー企業は、それぞれのレイヤーに応じた採用戦略を立案し、活動を通して試行錯誤の上独自の採用ノウハウを構築することが重要だと考えます。

また依存するという点では、学生の方がさらに顕著です。

あまりにサービス提供事業者に依存してしまうと、学生の活動範囲を制限してしまうと同時に自分で意思決定をするという最も重要な行為を回避してしまう恐れがあります。

私はこの10年近くの間で、多くの依存性症候群の中小企業と学生をみてきました。

現在気になっているのは、そういったサービスを活用して生まれた雇用関係が今も両者にとって価値のあるモノかどうかです。

もちろん、継続的に両者が成長を遂げている雇用関係も少なくないと思いますが、各方面からネガティブな情報を耳にすることもあります。

とは言え雇用創造の総数の引き上げという目的からみると、間違いなく存在価値があることは事実です。

しかし当社としては企業と学生が必要以上に第三者に依存することなく、自らの意志で決断を下すことができるような手段の構築が急務だと考えています。

万人に受けるサービスではなく、ある特定の対象者にとって、より価値を感じてもらえるようなサービスの開発に努めていきたいと思います。

 

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