年末に、とあるクライアントさんの説明会を代行していた際にカオスに入った女子学生と出会いました。
その彼女のアルバイト先は、世界的にも有名なネズミたちが主役のテーマパーク。
ご存じの通り、理念・ミッションステートメントを強烈に重視し、スタッフ(キャストですね)に徹底させているわけですが、それ自体はとても素敵なことであること言うまでもありません。
ではなぜ彼女が就職活動においてカオスに迷い込んでしまったかというと、3年以上という長期間、「お客様が幸せな時間を過ごすためにはどんな努力も惜しまない」というポリシーを徹底して実践してきたことで、彼女の働く目的とそれが同化してしまったからだと思われます。
簡単に言うと、彼女の入社したい企業というのは、このテーマパークを運営する企業か若しくは同等かそれ以上にお客様に幸福を提供できる企業でなくてはならなくなってしまったわけです。
話を聞いていると、当該企業への採用にチャレンジしたものの、残念ながら良い結果を得られなかったため、理念やミッションステートメントに共感できるその他複数の企業説明会に参加してきたとのことでした。
しかしながら、どの企業も理念やミッションステートメントは素晴らしいものの、それを現場レベルで実行している企業はほぼ皆無であり、理想を満たす企業と未だに出会えていないと。
話しながら徐々に彼女の目から涙が溢れてくるのを見て、苦悩を思いやると同時に同じように青い鳥を追い続ける学生も少なくないのだという気持ちになりました。
理想を持つことが重要であることは言うまでもありませんが、現実を見つめることも同様に重要です。
社会人として働くということは、まさに現実を突き付けられ、理想を打ち砕かれ、そのたびに苦悩することの繰り返しです。
でもそこから這い上がり、強くそして逞しく成長をしていく、とても意味のあることなのに。
また、社会人には「期限」という制約が付いて回ります。
彼女もこの3月末までに、就職先を確保するという成果を上げなければならないと、頭では分かっているようなのですが、なかなか体と気持ちが付いてこないのでしょうね。
きっと彼女は、就職活動を通して現実の存在を意図的に回避してきたのかもしれませんし、またそのことを教えてくれる大人、社会人と出会えなかったのではないのでしょうか?
働くことに対する意欲や、サービスへの拘り、コミュニケーションスキルなどなど、彼女の強みを挙げればキリがないのに、残念ながら青い鳥症候群に陥ってしまった結果だと思われます。
同様の学生が出ないように、周囲の大人が現実との向き合い方を教える必要があるのではないでしょうか。