昨日パートナー会社からの依頼で、昨年3月に大学を卒業した青年と面談を行った。
彼は福井県の出身で東京の大学を卒業したのだが、所謂新卒としての就職がかなわず今年から行政支援の「新卒者就職応援プロジェクト」を経由して地元福井県に本社のある印刷会社の東京支店で営業として就労体験を行っていた。
半年間の就労体験の後、いよいよ正規雇用されると思われた直前に残念ながら就労先企業から正規雇用できないと通知を受けたということで巡り巡って僕のところに相談に来たわけだ。
バスケットをやっていたこともあり、長身で挨拶もしっかりできる笑顔が素敵な好青年という第一印象。
ファーストインプレッションでは就職できない理由が見出せなかった。
その後約1時間ほど話をしたのだが、そのうちに彼が内定を取得できなかったことと、今回
就労体験先の企業から正規雇用を見送られた理由が明確になってきた。
ひと言で言うと彼は働く目的を見出せないでいたのだ。
決して高貴な目的でなくても構わないのだが、生きる術として働くことをどこか否定していた。
彼の場合、それを完ぺきに自覚しているにもかかわらず働くためのエンジン未完成であり、更にはエンジンの燃料となるガソリン(或いは血液)を生成する機能も持ち合わせていない
ようであった。
過去何かしらのチャレンジや失敗という体験がきわめて希薄な青年だったのだ。
当たり前だが、エンジンと燃料のないクルマは走ることができない。
ではどうやって彼のエンジンと燃料を作ればいいのだろうか?
基本的に過去の体験や経験から構築されるものであるわけで、一朝一夕には困難である。
僕は彼に、短期間で強烈な体験することを勧めた。
急速に彼の眉間が変化し、戸惑っている様子がうかがえた。
「今の中途半端な気持ちのまま働くのも怖いし、このまま諦めて未就労になるのも怖い」と彼は呟いた。
「恐怖心を持っているんだったら大丈夫!しばらく被災地に行ってボランティアをやるもよし、
バックパッカーとして途上国に行ってくるもよし、1万円の所持金で国内を2週間旅するもよし、とにかく一歩前に踏み出してごらん」というアドバイスに彼は少しだけ笑顔を見せて御礼を口にした。
彼が自ら今まで避けてきた一歩を踏み出してくれることを切に願う、頑張れM君!!