久しぶりに女性採用コンサルタントのWさんと情報交換。
Wさんは現在、新卒採用のアウトソーシング事業を行う傍ら、女性の就労支援という見地から、医療機関や大手企業内の保育所設置のコンサルティングを行うキャリアウーマンである。
1時間ほどの彼女との会話の中で話題に上がったのが「学生の就職観」。
この世界に身を置く人間との会話では必ずと言っていいほどこの話題は欠かせない。
「最近の学生は・・・」「働く意欲が低い学生が多い」といった学生に対する非常にネガティブな話が多い中、今日の会話はそれとは少し違っていた。
前提条件として学生の就労観の低下は否めないのだが、ただその原因は何なのか?という視点で世の中を見渡すとまた違った観点が見えてくる。
詰まる所、学生たちの就労観が低下したり、就職活動をあたかも入試の延長線上のように捉えてしまうというのは世の中全体に原因があるというわけだ。
例えば親(一般的には父親)。
最も身近な社会人であり、子供は親の背中を見ながら社会人という存在を認識する。
その社会人代表格である自分の親が、毎晩毎晩自宅で晩酌をしながら会社の愚痴・上司の愚痴を言う(アルコールが増えるとさらにエスカレートしていく)
子供からすれば「会社で働くことって、とてつもなく辛いこと」とか「できることなら社会人になりたくはない」といったネガティブなイメージを知らず知らずのうちに刷り込まれてしまう。
また学生時代のアルバイト先の社員。
特にサービス業系のアルバイトをしたことのある学生がよく口にするのが「うちの店長、疲れ過ぎていてもはや廃人同然です」といったフレーズである。
その学生は自分の就職先として決してその業界には興味を持つことはない。
就職活動においても学生にはお決まりのセリフがある。
「何がどう悪くて面接に落とされたか分からない」がそれだ。
面接ならまだしも、ESやGD等でも同様の感覚を持つ学生が多い。
その結果、自信を無くしデフレスパイラルに陥る学生は少なくないのだ。
ただ企業側の置かれている状況もあるので一概に企業を批判するのはよくないが、一人の人間として認めてもらえない(評価してもらえない)ということはその学生のこれからの人生に大きな影響があることを理解してもらいたいものだ。
こんなことを考えていると、学生自身の問題が一番重要ではあるが、社会全体が学生・若者(もっと言うと子供達)を将来の宝物だと考え、より一層輝いてもらうために「育てる」という発想が必要だということを感じずにはいられない。
日本の将来は現在リクルートスーツを纏い、セミナーや会社説明会に足を運び、面接に一喜一憂している彼ら現役学生であることは紛れもない事実なのだ。
現実から逃避せず、今の学生達、そしてもっと若い子供達の未来を築いてあげることが我々大人たちの重要な使命なのだ。
家庭、教育機関、企業、地域、行政。。。
本人の意識を大前提に、皆が力を合わせて日本の未来のために彼らを育成していく仕組み作りに本気で取り組まなければならない時期が来たようだ。