「会社に脈々と流れる思想観」

学生の価値観、判断基準

この時期はクライアントの最終選考合格者向けに意思決定をサポートするセミナーで、多くの学生と面談やセッションを行う機会が増えてきました。
最近の就活生の傾向は、業界を絞らずに「価値観に共感できる会社に決めたいです!」というタイプが多いということです。
そのこと自体は何ら問題はないのですが、「共感できる価値観ってどんなこと?」という問いに対しては、結構あやふやな印象が否めません。
また同業種の企業から複数内定を取得している学生の最終的な意思決定も厄介です。業界にもよりますが、学生の持ちうる知見だけで複数の同業者を比較するというのは極めて困難であり、結果的に知名度や売上の規模、従業員数、初任給の高さといった次元の低い判断基準で決めようとする学生が少なくありません。
そこで今回は、一見するとほとんど同じような事業展開、戦略をとっているいるのではないかと思われる企業2社の事例で、創業時から脈々と流れる会社の思想観についてお伝えしたいと思います。(中には事実ではない情報、私の主観や想像も含まれていることをご認識ください)

創業の原点から企業を判断する

社名は伏せてお伝えしますが、明確にあの会社だとわかってしまうと思います・・・軽く流していただければ幸いです。
さて2社の業界ですが、ズバリ紳士服の小売業です。
偶然にも社名の頭文字のイニシャルが同じなのですが(この時点で既にバレバレですね)、便宜上1社をA社、もう1社をB社とします。
まず歴史ですが、A社は1960年代半ばで、B社は1950年代の後半です。ちなみに両社ともに地方都市が出発点です。
A社のスタートは、当時普通のサラリーマンがなかなか買えなかったスーツを安価で提供することでした。
紆余曲折しながらも、職域販売からスタートし、やがて複数の店舗を構えるようになり急激な成長を遂げます。
この成長を支えたのは、『サラリーマンに安価で大量にスーツを販売する』という思想です。この思想はその後も脈々と受け継がれ、現在ではギネスブックで世界一スーツを販売する企業として認定されるまでになりました。
またA社は、100円均一ショップ事業にも参集していて、スーツ同様に消費者に対して安価で大量に雑貨を販売しています。
一方B社は個人店、いわゆる「テーラー」と呼ばれるオーダースーツを個別に製造・販売することが原点でした。
当然ながらA社よりも価格は高いわけですが、その分デザインや素材・生地に拘り質の高いスーツを提供するというサービスというわけです。
その後も付加価値の高いスーツを提供するという拡販するという方針で、A社との差別化を図り多店舗展開をしていくのですが、ユーザーからみるといつからかA社とB社の違いがあまりよく分からなくなってきたように感じます。
しかしB社の多角経営の戦略をみると、高級感のあるウェディングプラザやカラオケ店舗など、経営の意思決定において創業時の思想が反映されているようです。
このように、人間に人格があるように、法人にも法人格があります。
一見同様の事業を展開しているように見える同業種の会社でも、そもそもの原点や思想が違うということは多々あります。

企業を分析する、同業他社を比較する上でこの視点を持つことは非常に重要です。
採用広報においても、創業時から脈々と受け継がれている思想観、つまり自社の法人格をしっかりと伝え、共感してくれる学生だけに選考に来てもらうような戦術が必要ですね。

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